骨折の方
骨に外的な力が加わることで、骨が壊れた状態を「骨折」と言います。ポッキリと折れてしまう骨折のほか、「ヒビ」や「骨の一部が欠ける」「骨がへこむ」という状態も「骨折」になります。健康な人は、相当大きな力が加わらないと骨折することはありませんが、病気で骨が弱っている方、薬の副作用で骨が弱っている方、ご高齢の方などは、少しの力で骨折してしまいます。これが「病的骨折」です。また、学校等の部活動や社会人スポーツでよくみられるのが、「疲労骨折」です。「疲労骨折」は、健康な骨であっても、同じ場所に継続して力が加わり続けることによる骨折です。じんわりと折れてしまうので、長引く痛みに耐えかねて病院を受診すると「疲労骨折」していたことが分かる場合もあります。
骨折をするとお医者さんが「全治3週間」「全治1か月」などと、治癒の目安を言いますが、この回復までの期間には個人差があります。患者さんの年齢・体力・骨折の部位・周囲の組織の状態などを総合的に判断した「治癒までの期間」で、おおむね以下のような過程を経ることが多くなっています。
第1期 骨折血腫期(負傷後8日~10日前後)・・・負傷部位の周りの血液から血腫を作り、出血が止まると炎症が起こる
第2期 軟仮骨形成期(負傷後10日~25日前後)・・・柔らかな組織が、繊維状から軟骨程度に再生
第3期 骨芽細胞増殖期(負傷後20日~60日前後)・・・軟骨から一般的な骨状に変化するが、硬度には個人差あり
第4期 硬化期(負傷後50日~180日前後)・・・元の骨組織にほぼ近い状態まで回復
第5期 改変期(負傷後4か月~12か月前後)・・・完全な骨になる
負傷直後は痛みが強い上に、骨折部位の周辺は炎症や筋肉の破損を伴っていることが多く、まずは負傷部位(骨折部位)を安静に、骨を正しい位置へ安定させることが最重要となります。
ただし、筋肉や関節は数日動かさなかっただけでも筋肉が細くなる萎縮や、関節が凝り固まる拘縮を起こしますので、痛みを伴わない部位のリハビリは負傷から数日後もしくは骨折の処置をした直後から始めることが理想となります。
施術方法
- 外科手術
- 内科治療として薬
- 運動(リハビリ)・予防
以前は、「ギブスが取れてから」リハビリを開始するのが一般的でしたが、上述のように、数日動かさないだけでも筋肉の委縮や、関節が凝り固まる拘縮を起こしますので、近年では、リハビリを早期に開始するようになりました。負傷の状態によってリハビリ箇所が違いますので、必ず専門の療法士の指導のもとで行なってください。
骨折後のリハビリの一例です。
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関節可動域練習
はじめは優しくゆっくりと、痛みの出ない範囲で関節を動かします。過度な範囲を動かすと関節を損傷させてしまう可能性もあるため、専門職に相談して行いましょう。
同時に筋肉のマッサージ等も行うとより効果が得られます。 -
筋力強化練習
骨折部位の周辺(例えば足首を骨折したら膝関節や股関節)にもしっかりと筋力強化の練習を行うことが良いとされます。骨折部位を動かさないでいる期間は、近位の部分も筋力が低下していくためです。骨折の部位によって練習内容は変える必要があるので、こちらも専門のリハビリ担当者(理学療法士、作業療法士)に指導を受けることが大切です。