クモ膜下出血の特徴
クモ膜下出血って
どんな病気?
脳卒中の中でのクモ膜下出血の定義
脳の細胞が損傷したことによる疾患を「脳卒中」といいます。「脳卒中」の中で、血管が破れて起こる「頭蓋内出血」の内、脳の表面を走る大きな動脈にできたこぶが破れるのが「くも膜下出血」です。
日本のクモ膜下出血の年間発症率は人口10万人あたり約20人であり、1:2の割合で女性に多いのが特徴です。
脳卒中の中でも40~60歳代の若年での発症が比較的多く、死亡率は約10~67%とされ、生存率の約30%は重度の障害を残して要介護となる重篤な疾患です。
脳卒中の種類
脳卒中の内訳
脳卒中は今後も増えていくことが
予想されている疾患です
かつては、死亡原因の第1位が「脳卒中」でしたが、今ではがん、心臓病に次いで第3位となっています。
ただ、「脳卒中」の発症が減少したわけではなく、「がん」や「心臓病」が増えてきただけで、「脳卒中」を発症する人も増えてきているのが事実です。早期発見や医療の進歩により、すぐに死に至る病気ではなくなってきましたが、「寝たきり」になる原因の3割ほどが「脳卒中」です。
食生活の欧米化、超高齢化社会、生活習慣病の増加など、様々な理由により、今後も増えていくことが予想されている疾患です。
クモ膜下出血について
クモ膜下出血の
原因と症状
クモ膜下出血の原因
クモ膜下出血は、脳とくも膜の間にあるくも膜下腔へ出血をきたしたものであり、主な原因は脳動脈瘤の破裂(約80%)です。
脳動脈瘤とは、脳動脈の一部が拡張した状態で、先天的な血管分岐部の器質的脆弱性や血行力学性などの後天的な因子が要因と考えられます。
くも膜出血の発症には、喫煙、高血圧、過度の飲酒が危険因子として報告されています。
家族歴も重要な危険因子であり、一親等以内の近新者に脳動脈瘤を有する者の4%が脳動脈瘤を有するとの報告があります。
クモ膜下出血の症状
典型的な症状は、「今までに経験したことのない突然の激しい頭痛」と表され、多くは嘔吐を伴い、悪心やめまい、意識障害も伴うこともあります。
発症時の意識障害の程度はクモ膜下出血の重要な予後予測因子であり、発症後に予後を悪化させる因子としては再出血と遅発性脳血管攣縮が重要です。再出血は高率に予後を悪化させます。
脳血管攣縮とは血管狭窄のことであり、クモ膜下出血の発症後3日~14日目に起こりやすいと言われています。この間に脳は虚血状態になり、脳梗塞をきたします。
脳血管攣縮の発生機序はいまだ詳細が明らかではありませんが、くも膜下腔の血種量が多いほど血管攣縮が生じやすく、何らかの起因物質が血種から放出されることによって引き起こされると考えられていいます。
この他、クモ膜下出血の予後や回復に影響を及ぼす合併症として水頭症があります。くも膜下出血後の慢性期には10~37%の頻度で正常圧水頭症が発症します。正常圧水頭症の三大兆候は、歩行障害、認知症症状、尿失禁で、クモ膜下出血後2~6週ぐらい徐々に出現します。